無農薬でパッション栽培 苦瓜にも挑戦 大事なのは土づくり
奄美の温暖な気候を生かした農業の振興が進められているが、同時に台風や病害虫などの弊害もつきまとう。
これらの課題をどうクリアし、島外への販路拡大へ結びつけることができるのかが、今後の道を切り開くための重要課題だ。
そんな奄美の農業に期待を寄せ、熱意をもって取り組むI・Uターン者が増えているが、現在名瀬市小湊で施設農業を行う谷口正樹さんもその1人。 県内で急速に生産意欲が向上しているニガウリ、熱帯果樹の有望株として期待の高まっているパッションフルーツを栽培する。 無農薬でのパッション栽培をはじめとする、極力農薬・化学肥料を使わない栽培を行い、新たな農業の形に取り組む谷口さんに、その思いを聞いた。
大阪からのIターンだそうですが、なぜ奄美で農業を?
サーフィンが好きで、15−6年前から通っていた。 奄美に住みたいなーとずっと思っていたけど、その時の仕事がすごく忙しくて。 でもこのままじゃだめだ、と。 島に骨をうずめる気で来ているし、じいちゃんになっても仕事をもっていたかった。 あとやっぱり自然と向き合える仕事がしたかったから、農業だと。
ハウスでニガウリを栽培していますが。
本土と比べて早い時期に出荷できるというのが奄美のメリット。 島内需要はすでにパンクしているし、しかし輸送コストがかかりすぎて本土との競争は難しいと思う。 あと栽培で一番怖いのは連作障害。 ニガウリは特に障害が出やすい。 ハウス4棟だけなので、今は輪作もできないが、うちはまだでていない。
それはどうして?
何より土づくり。 そこにお金をかける。 地力を高め、作物自体の生命力を高めることを大切にしている。
パッションは無農薬で栽培しているそうですね。
ニガウリは無農薬では無理だが、パッションは可能。 初めは本当にできるか半信半疑で、片手に薬を持つように構えていたけど、我慢できる範ちゅうの被害だったら耐えよう、と思い立った。 そうしたら無事成長し、自信がつきました。
具体的にどんな方法で栽培しているんですか。
ネットやシルバーマルチ、粘着シートや誘殺灯などできるかぎりの防除はする。 土は微生物善玉菌の力を最大限に引き出す。 1つの虫や菌を殺すための農業で、土中にいるほかの有効な微生物も殺すことになる。 無農薬は結局土を育てていくことにつながると思う。 また無農薬というと、安全だけど形がよくないというイメージをもたれるが、安全で味が良く、さらに外観もよくないとこれからは売れない。 そう考えると、無農薬であってもここまできれいな外観で作れるパッションはとても魅力的。 味もいいと自信をもっている。
奄美パッションの産地化については。
奄美はパッションの最適地。 認知されれば必ず都市での需要は伸びる。 今は値が下がっているが、将来性があるし、ここで落ちるのではなく前に進んでいきたい。 群島全体で盛り上げ、奄美をパッションの産地にしていけたらと思う。
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